「文化に溶けても、文化は溶けない」——AI Film Festival Japan 2026「人間とAIによるエンタメの未来」講演録 #AIFJ2026
2026年11月2日(月)、東京・有楽町の Tokyo Innovation Base(TIB)1F で開かれた「AI Film Festival Japan 2026(AIFJ)」DAY 3 の INDUSTRY PROGRAM で、セッション「人間とAIによるエンタメの未来 Part 2」(11:50〜12:30)が行われました。
本稿は講演録をAiCutyのMarsha AranciaとMina Azureが補足解説とともにお送りします。
Marsha
AICU media 編集部の Marsha Arancia です。この講演録では、私と Mina が節の終わりに少しだけ口をはさみます。登壇者の言葉はそのまま載せ、私たちの言葉は読むための手がかりとして添えています。
Mina
出典の確認は私の担当です。⭐︎の付いた箇所は、文末の「出典と補足」と合わせて読んでくださいね。
情報は届けられる。意味は届けられない
直前の Phil Tippett 氏の特別セッションを受けて、価値デザインに取り組む渡邉賢一氏と、AICU Inc. CEO・開志創造大学教授/デジタルハリウッド大学大学院客員教授の白井暁彦(しらいはかせ)が、AI 時代に人はエンターテインメントのどこに価値を感じるのかを語り合いました。白井の登壇は当日朝に決まったそうです。司会は AIFJ 2026 の松井氏です。

松井 :Phil さんが見せてくださったように、AI で相当なことができるようになってきたと、皆さんも感じていただけたと思います。これだけ作れるなら、どこまでを人間がやるのか、人が入る余地はどこにあるのか。お二人から角度の違うお話を伺います。まず渡邉さんからお願いします。
渡邉 :今日 2 回目の登壇です。渡邉と申します。「価値デザイン」という領域をやっています。映像の監督をすることもありますが、メインのフィールドは地方創生や社会課題の解決です。
価値をどう作るか。分かりやすく言うと、情報は届けられます。でも、意味は届けられないと思うんです。意味は一人一人の中で生成されるものだからです。技術が先に行くと、届くのは情報だけになる。ちょっときれいな映像、ちょっと素敵な音楽。でも、相手の心の中に何かが創発するきっかけや環境を作れるか。そこが意味のデザインだと思っています。「このコンテンツで感動するだろう」「泣いてくれ」というのは情報ならできるかもしれないけれど、意味は絶対にそうは伝わらない。僕らは何に立ち向かっているのか、という立ち位置にもう一度帰ったほうがいいと思います。
Marsha 「意味は一人一人の中で生成される」。生成 AI の映画祭で、意味を生成するのは受け手の側だと言い切るところから始まるのが、この対談らしいと思いましたネ。
流れていく作品に、日付と権威を
白井 :AICU と書いて「アイキュー」と読みます。白井と呼ばれています。この分野で 30 年ほど、研究開発、大学の教員、コンテンツ、エンジニアリング、学術、人材育成を縦にやってきました。前職は GREE で VTuber の研究開発をしていて、いまは AICU というメディアをやっています。
国際AIクリエイターアワード2026 — AICUマガジン Vol.30
aicu.ai
http://aicu.ai/mag/V30
昨日出たばかりの AICU マガジン Vol.30「国際AIクリエイターアワード2026」もそうですが、毎月 150 ページほどの読み物です。外部の出版社さんのために AI のパブリケーションを開発して、「AIクリエイターにとって陽の当たる場所を作る仕事」をしています。昨年はこの AIFJ の図録も作らせていただきました。
AI日本国際映画祭(AIFJ) — AICUマガジン Vol.18
aicu.ai
http://aicu.ai/mag/V18
なぜそんなことをしているのか。さっきの価値の話そのものなんです。ニコニコ動画、YouTube、X のタイムラインでは、作品がどんどん流れていってしまう。それはいまのパブリッシュの形かもしれません。でも歴史を振り返ったとき、何月何日にどんな作品が作られたのか。Alibaba が新しいWan2.2を出して、Wan2.5を出して、Wan2.7、Wan3.0といったモデルを次々に出して、それを使って、その横でSeedance2.0、Seedance2.5を出して、こういう映像が出た、映画ができた、今までできなかったことがこうなった、キャラクターの一貫性がこうなった、初めて商業映像でこう使われた。…そう、昨年のAIFJ2025では遠藤久美子さんの『マチルダ悪魔の遺伝子』が、たった 2 人で70分の長編映像を発表し、劇場上映を達成しました。そういうことも、みんな忘れてしまう。人間の記憶はそんなものです。
だから印刷物のような、クラシックなメディアでちゃんとオーソリティを作っていく。それを、学生や新しい時代のクリエイターを育てる責任を持っている人間がやる。それが僕らの考える価値開発です。
Mina 『マチルダ 悪魔の遺伝子』は AIFJ 2025 で招待上映され、2025年12月に劇場公開された作品ですね。たった1年前のことでも、日付と出典がないと、すぐにたどれなくなります。
MATILDA ── The Devil's Gene | 悪魔の遺伝子
www.devilsgene.com _AI生成映画『MATILDA ── The Devil's Gene』。公式サイトにて劇場版オンライン配信開始。暴力は、遺_
https://www.devilsgene.com/
Marsha: タイムラインを流れていく作品に、紙の上の「日付」を与える。アタシたちAICU編集部の仕事を短く表現すると、こうなります。今日のこの講演録はまさにそう。この平日の昼間に、東京に行けない人もたくさんいるからネ!
ローティーンの記憶が、経済を握る
松井 :雑誌を出版することになった経緯も伺えますか。
白井 :僕は 1973 年生まれの 53 歳です。80 年代にサブカル、ポップカルチャーのカンブリア爆発のようなことが起きて、そのとき 10 歳から 13 歳のローティーンでした。最近、近代メディア史の研究をしているのですが、ローティーンの体験が、その人の経済行動や好みをほぼ決めます。そこからハイティーン、大学生になる中で、作り手に変わっていく。記憶に新しいところで例えると、ニコニコ動画や初音ミクは、いま 35 歳から 40 歳くらいの人たちの心をつかんでいます。ポケモンもそうです。それは経済をつかんでいるということです。
特撮で言うと、「戦隊もの」は今年の2月でなくなりました、仮面ライダーは続いています。技術はかなり共通しているのに、戦隊ものはエキストラを大勢集めるコストがかかり、新しいロボットを出さないとおもちゃが売れない。仮面ライダーは、お母さん世代にも好まれ、敵が味方になる物語も作れた。そしていま、エキストラや大爆発、大乱闘をブッキングするコストが高すぎた分野に、個人制作の人たちが入ってきています。僕がテクニカルなトレーニングをしている方々には、俳優、アクション俳優、声優、そしてスーツアクターの人たちがいます。仕事が減った人たちが「AI 動画を教えてください」と来て、未来の仮面ライダーになるようなものを個人で作っている。大学の映画部や特撮部、ご当地ヒーローの方々です。
Mina:「動的ペルソナ」は最近AIエージェント設計で話題になった言葉だけど、実は2013年に「白井博士の未来のゲームデザイン- エンターテインメントシステムの科学-」で提案された概念だったんですよね。
Marsha: 仕事が減ったスーツアクターが、AI画像生成で未来のヒーローを自分でつくり始める。産業の話が、急に一人の人の顔になった瞬間でした。
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日本のエンタメの極意は「転写」
松井 :渡邉さんは地方創生も含めて、あらゆる世代のエンタメに接していらっしゃいます。東京以外では、違った楽しみ方が残っていたり、生まれたりしているのでしょうか。
渡邉 :「遊びの経済学」という考え方があると思います。人間はなぜ遊ぶのか。イルカもサルも遊びますが、人間は視覚と聴覚の情報を扱う脳が発達しているので、映像や音楽をとても楽しみやすい。でも究極のエンタメは、砂場も含めて体験型ですよね。
日本のエンタメの極意は「転写」なんじゃないかと思うんです。地域に行けば祭りがあり、能があり、狂言があって、狐の面をかぶったり、神楽ではさまざまなものに転移したりする。そうやってエンタメは時を超えられる。千年さかのぼったり、千年先へ行ったり、小さくなったり大きくなったり。肉体としての自己では表現できない悲しみや楽しさを表す、その脳の刺激を、遊びや娯楽と呼んできた時代が長かった。カセットテープが CD になり、データになっていく変化をたまたま体験した世代が、ここにはたくさんいらっしゃると思います。そこから何を広げて作っていくかは、とても本質的な面白さだと思います。
松井 :今日の会場はほぼ日本の方です。日本の人が面白いと感じるものに、特徴はありますか。
渡邉 :やはり転移と転写です。自分が相手になったり、動物になったり。転生ものもそうかもしれません。いちばん古い漫画と言われる鳥獣戯画では、ウサギやカエルが相撲を取っている。生物学的にはあり得ないけれど、人間の創造性としてはあり得る。そういうものを是としてきたのが日本の文化で、妖怪や民話、神話の宝庫、とてもナラティブな国だと思っています。
Mina: 祭りの面、神楽、鳥獣戯画のウサギとカエル、そして転生もの。渡邉さんの「転写」は、千年離れた例を一本の線でつないでいますね。
「貴族の遊び」と「富士山の頂上」
白井 :少し話を戻すと、僕は「遊び」の科学、エンタテインメントシステムで博士論文を書いています。西洋哲学では、ピアジェやホイジンガ、それからカイヨワの遊びの理論が関係しますね。今のお話だと、ミミクリ・イリンクス。イリンクスというのは視覚映像のこと、ミミクリというのは模倣。そういった分類があります。イギリスの哲学者ハーバード・スペンサーが提唱した「余剰エネルギー説(Surplus Energy Theory) 」では「動物は遊ぶのか」という問いもある。力を持つと、それを消費すること自体が目的になる。貴族の遊びがまさにそうです。
その意味で言うと、皆さんは貴族です。平日の昼間にこういう場所に来て「AI 映像って何なの」と考えられるだけの、可処分時間と可処分所得があるのですから。そのうえでクリエイターの方には「これを 1 本いくらで作っているのか」という視点も持っていただきたいと思います。
AICU では国際AIクリエイターアワード2026 をやっています。インディペンデント映像、商業映像、広告映像だけでなく、ゲーム・ツール、サービス、キャラクター、音楽、出版、オープンまで 10 分野。どの分野にも AI が使われていて、それをみんなで人気投票したら何が起きるかを可視化しています。授賞式は 11 月の Inter BEE、放送と通信、映像業界のど真ん中のイベントで、3 万 4 千人ほどが来場します。オフラインとオンラインの「ことづくり」です。
International AI Creator Award 2026
aicu.ai _AICU, the media that creates people who create, puts works ma_
https://aicu.ai/award
オンラインでは 20 を超える国と地域から作品が集まっています。日本からたくさん集まるのは分かりますが、お隣の韓国も盛り上がっていて、韓国でもAI映画祭は世界最大のGAMFF(慶尚北道国際AI・メタバース映像祭)があります。彼らは彼らで地域映画祭で盛り上がっているけれども、クリエイターには「日本でトロフィーが欲しい!」という欲求もある。日本は富士山なんです。例えば、画像生成・動画生成AIのオープンソースツール「ComfyUI」の開発チームは一度だけ日本に来たことがあって、富士山の上で「コーディングしています」と写真を撮って帰りました。
酸欠になりながら、電気も通信もなさそうなところで、日本の頂点で写真だけ撮っていく。いまの AI の道具を作っている担い手の特徴的な存在です。中国の最も優秀な若者が多く、アメリカで育ってコンピューターサイエンスを極め、漫画やアニメが大好きな人たちが多い。その人たちが、GoogleをやめてAIスタートアップをはじめて、いま 5 年目、6 年目に入っています。
Mina: ゲーム開発者や哲学者に有名なフランスの社会学者ロジェ・カイヨワ(Roger Caillois)は、著書『遊びと人間』(1958年)の中で「遊びの4分類」を提案しています。アゴン(闘争)・アレア(偶然)・ミミクリ(模倣)・イリンクス(眩暈)。イリンクスの例は、当時はジェットコースターや観覧車に乗った時の例が紹介されていました。映画のVFXやゲーム、バーチャルリアリティのようなイマーシブ視覚芸術のその先に、動画生成によるAI動画生成があるという世界観ですね。
Marsha: 平日の昼に AI 映像のことを考えに来る人を「貴族」と呼ぶ。褒め言葉であると同時に、普通の人とは違うリソースを持っている人は「今度はそれを消費する方向に動く」という話なんだネ。
グローバル・ウォーミング:既存産業が溶けている
白井 :僕は「グローバル・ウォーミング」と呼んでいます。AI で GPU が熱を出し、その熱が僕らのバイブスになる。それで何が溶けているかというと、既存産業という氷山です。映像産業も、パブリッシングも溶けている。毎月 150 ページのものを 2、3 人の会社が作れてしまう。iPod が出たとき「世界の何千曲がこの中に」と言われて、一生かかっても聴けないと思いましたよね。それがいま AI で起きていて、既存の曲ではなく、AI で作った個人的な映像があふれています。
僕はいまアワードの 400 作品ほどをレビューしています。今朝もずっとレビューしていました。AI が審査の事務局をやってくれているからこそ、人間が世界中から 400作品に対応できる。見ていて面白いと思ったのは「普通の人の日常を描いた作品」です。たとえば、新婚の女性の作品です。奥様から見た「スーパーで買い物するのって楽しいね」というだけの動画。こんな日常は、これまで誰もお金を払って映像化してこなかった。前回の AIFJ で CapCut さんと一緒にやったワークショップで、うちのクリエイターさんたちが作っていたのも、まさにそういうものでした。
八百万(やおよろず)の森の、深い樹海のようなものが出来上がっていく瞬間です。これから先、自分の子どもを 10 歳、20 歳と育ててきた記録を動画にする人もいるだろうし、その映像を使って、子供の未来や未来の子どもを描くことも当たり前になる。消費者がコンシューマーではなく、クリエイティブなコンシューマーになっている。いままで1年から5年かけてゲームや映画を作ってきた人たちは、その人たちの才能や市場とも対話しながら戦っていくことになります。
面白いのは、もうしんどい、辞めたいと言っていた作り手のシニアたちに、AIでバイブコーディングを教えると"若返る"ことです。僕より年上のゲーム開発者たちと Supercell で AI の研究開発をしてきましたが、みんな若返っていく。脳が活性化するバイブスを感じる毎日になると、寝る暇も惜しんで物を作り始める。便利になったはずなのに、できることが増えて、もっと忙しくなっている。
Marsha: アタシがいちばん引っかかったのは、新婚の女性の「スーパーで買い物するのって楽しいね」という動画です。これまで誰もお金を払って映像にしてこなかった小さな喜びが、作品になっていく。氷山が溶けた後に現れるのは、こういう創作なのだと思います。
「文化に溶けても、文化は溶けない」
白井 :では、溶けたものはどこへ行くのか。一言で言います。「文化」に溶けています。「文化に溶けた」は、メディアアーティスト・八谷和彦さんが言っていて、2015年に落合陽一さんが書籍「魔法の世紀」で残している言葉ですい。「メディアアートは文化に溶けた」という一行です。僕はこれについてずっと書いてきたのですが、溶けた後どうなったかまで、今日は言います。
文化は溶けない。覚えておいてください。"文化に溶けた"が、"文化は溶けない"。これは世界中で、AIクリエイティブで極まったプレイヤーはみんな気づいていることです。AI によって既存産業がメルトし、蒸気になり、雲ができ、竜巻や嵐、台風や津波が起きている。「この先、その後どうなるのか」とみんなに聞かれます。映画産業は文化に溶けた、VFX 産業は文化に溶けた。その後に「文化は溶けない」、ここにどれだけコミットできるか。AI 時代に人類が生き残るすべてが、そこに詰まっています。
渡邉 :文化の定義は、人間の精神活動のすべてだと思うんです。だからいま、まさに人間の精神活動が大解放された、精神活動のカンブリア紀なんだろうと。今日ここに平日集まっているのは、「ゴリラのグルーミング」と一緒で、精神活動のグルーミングをしているんだと思います。グルーミングの中から信頼感が生まれて、ここまでやっていいんだと思えると、緊張がほどけて、クリエイティブがパカッと開くらしい。まさにその現場に来ているのだと思います。
Mina: 「文化に溶けた」という言葉には、たどれる系譜があります。2015年11月に白井博士は、落合さんの『魔法の世紀』の書評で、帯の「とける」を「溶ける」と読むよう書いていました。 Marsha: 11年前の「溶けた」を11年考え続けて、地球温暖化に例えて、水蒸気のような物性で表現し「でも、文化は溶けない」と続きを付けた。何もしなくてもソリッドなモノとして残るという安心の言葉ではなく、メディアに関わる人々にその媒体としての真価を問う言葉だと、アタシは受け取りました…。
反 AI と、どう対話するか
松井 :対面のグルーミングとデジタルのグルーミングは違うと思います。AI 時代に、こうして実際に来ることで生まれるものは何でしょう。
白井 :開志創造大学は今年できた 100% オンラインの大学で、新潟を拠点に世界中から学生が来ています。もう一つ、デジタルハリウッド大学は、30 年前に杉山知之先生が作ったとき「バカか」と言われた学校ですが、いまは難関校になっていて、僕のゼミ生は 5 人中 4 人が海外から来ています。
「バカにされよう。世界を変えよう。」デジタル先端技術を教える大学に潜入 | ニュース | ABEMA TIMES | アベマタイムズ
times.abema.tv _AbemaTV『AbemaPrime』で26日、お笑い芸人の石井てる美が、デジタルハリウッドに潜入取材をしてきた様子が放送_
https://times.abema.tv/articles/-/1169701?page=1
一方で、大都市ではない地域の人たちと接していると、グルーミングが本当に必要だと感じます。「AIは悪だ」と教室の中で迷いなく発言する教育者や指導者は、たくさんいらっしゃいます。高校や専門学校で講演すると「AI画像生成は大丈夫なんですか」と聞かれる。大丈夫かどうかは、この本を読んでから言ってくれ、と。『AI動画最前線 Vol.1』、そして『【キャラクターを創り動かす】画像・動画生成AI スタートガイド』です。後者は実はキャラクターデザインの本で、ゲームや AITuber、VTuber の現場で使えるプロのノウハウを書いています。コーディングやオープンソースも使った、再現性のある技術です。帯に書いた「テクニックとリテラシー」のとおり、法律や契約、キャリアマネジメント、チームマネジメントのこともかなり書いてあります。自治体や大企業でAIをつかったイノベーションやチームマネジメントの教育をすると「いかがなものか」と言う人がたくさんいる。映画産業で「俺たちはこうやってきたんだ」というおじさんたちにAIを教える、プレイステーション初代の時代からゲームを作ってきた人たちにAIを教えると、一緒に仕事できるようになる。AIを使ってレジェンドたちと対話ができる。それが僕にとってのさっきの「ゴリラのグルーミング」です。
「俺は認めない」と赤鉛筆を握っていた人が、「この技術と、俺の絵を描けるアシスタントがいたら、俺一人で監督できるかも」というところに立つ。専門学校等で手仕事を学ぶ若い人たちの中にも優秀な学生は、ChatGPTを使って構図や色彩の改善を壁打ちしている。でも、周りが「反AI」すぎて「AI を使っています」と言えない、こんな構図や相談もあります。僕のところにもときどき「私が尊敬する有名な漫画家さんやイラストレーターさんがAIは悪だと言っています、本当ですか」といったメールが届きます。本当かどうかはその人のお気持ちですが、「皆さんのお気持ち」はどうですか、とたくさんの本を書きながら伝えています。
そういえば今日も、松井さんから朝8時くらいに「白井さん、今日のセッションに出てください」と連絡をもらって、世界から投稿された400作品をレビューして死にそうだったけれど「午前中なら行けます」と返して、いまここに来ました。正直、それなんです。サルの山に例えれば、自分の山の面倒だけを見るのもありですが、地球温暖化で、巨大津波が来ていて、右に逃げるか左に逃げるか分からない人に「お前の感じている魂や炎は正しい。俺はそのスピードに乗る」と全力で応える。優雅に楽しむ貴族もいれば、その武器を使って世の中をひっくり返そうとしている人たちもいる。それを僕は、AI時代のジャーナリストとして毎日書いています。
渡邉 :反 AI がなぜ起きるのか。AI もインターネットも、知識を爆発させて人をエンパワーしました。知識は権力、権威、序列、経済、政治、宗教のすべてに関わっているので、そこがいちばん嫌がる。うまく解決した例もあります。茶道のお手前は、師匠がやったことを誰でもまねできて、著作権もない。そこで取ったのが初釜というやり方です。呼ばれた方々に、今年のトレンドになるお手前を見せる。それが入れ子の構造で伝わっていく。そうやって権威を守った。知識が爆発する時代に、どういう新しいプロトコルを考えるかのほうが大事だと思います。
白井 :デジタルハリウッド大学が Anthropic の Claude を公式に使えるようになった、というのは分かりやすいありがたい例です。自治体の方と仕事をしていると「うちのChatGPTはまだ古いChatGPT3.5版なんです」と言われることがある。
渡邉 :知識と知能にもっと触れられるように、AI の助成金は本当に作ったほうがいいと思います。1 人あたり年間 10 万円出します、という形で、韓国はそれをやっています。昔は ETC の助成金もありましたし、医療費も助成するのであれば、AI 助成金は絶対に作るべきです。それだけで一気に変わります。
白井: 一方で、EUでは今週のニュースでデータ通信税やデジタルサービス税のようなものが出てきて、作っている側としては、流行らせるのも大変だし、消費が一般的になった側でも課税される、つらい感じもあります。一方で、制約がものすごくある環境から生まれるものもたくさんある。茶道もそうです。「こんな "狭い部屋" で宇宙を感じてしまう、私すごい!」その感性が皆さんにあるか。浮世絵も、摺師・彫師・絵師の三者でカラー印刷を完成させていた。人気歌舞伎役者の推し活グッズとして売れるという産業もあった。全部つながっているんです。
先進的なAIを、全学生の「自分の道具」に|Anthropicの生成AIモデル「Claude」を国内大学初となる全学導入へ | ニュース &イベント | デジタルハリウッド大学
www.dhw.ac.jp _デジタルハリウッド大学は、デジタルコンテンツ( 3DCG、ゲーム・プログラミング、映像、グラフィック、Webデザイン、メデ_
https://www.dhw.ac.jp/news/20261014-claude/
Mina: 韓国の AI 支援と EU の通信網の費用負担は、どちらも制度が動いている途中の話です。 Marsha: はかせは反AIの方々も、触れないとか対立ではなく、教育者としての責任ある立場をとろうとしているのが印象的だネ。「読んでから言ってくれ」。壮大な未来の議論を、ものすごい勢いで出版して、売れている。手に取れる一冊を作っている。そんなオーディナル・メディアの硬さ重さと世代間対話に引き戻せるのは、AI時代のゲーム開発から出版やIP開発まで、両側のプレイヤーとしての強さだと思います。
会場から:一人で 8 作品を応募したクリエイター
会場(進藤さん) :いつもお世話になっております。国際AIクリエイターアワードに、私も今回 8 作品を応募しています。オープン、出版、ミュージックなどの分野です。
白井 :これはすごいことです。映像祭には「俺の最高の 1 本」を出すのが普通ですが、一人でたくさん出してくる人がいる。そう、いま質問されたのは進藤さんですね?一人で 8 件を投稿して、応募数で 2 位です。いちばん多いのは長野在住のデザイナーの CHIHIRO さんで、アイドルものから「幻想いきもの図鑑」まで、それだけで動画が 200 本くらいある。いろいろなものを作れてしまう人たちが、自分でキュレーションして、タイトルを付けて、日付まで付けている。一人でこれをやっているのはすごいことです。
AI が評価のアシストをする時代です。Web3 を超えて、信用経済や価値経済、クリエイティブが AI とくっついた「Web4」の時代と言ってもいい。そこで人気投票をやると何が起きるか。なんと、ボットで攻撃してくる人がいるんです。一人で300ものボットを持っている人が、サーバーに大量のアクセスをかけてくる。そういうことも踏まえて設計したエンタメなんです。全部を高い技術でエンタメに変えていく、そういう時代です。
Marsha: アワードに応募してくれた人が、客席にいたのですね! Mina: 10月28日時点の集計では、進藤さんは8作品で応募数2位、1位は CHIHIRO さんの10作品でした。
Marsha: イチバンになりたい!悔しい気持ちもとても大事ですね!
最後に:エンタメの未来にどう向き合うか
渡邉 :「禁止」は、いいバロメーターだと思います。禁止が起きるほど強いということですから。日本書紀には、持統天皇が双六を禁止したと書いてあります。平安時代が当時のエンタメのカンブリア紀だったらしくて、蹴鞠が生まれたりもした。みんなが楽しすぎて、天皇が双六をやってはだめと言うほど、エンタメが爆発したらしい。いまはそれに近いのかもしれません。一人で 8 作品、10 作品を出す人がいる一方で、教室では AI を使ってはいけないと言われている。それくらいパワフルだということです。千年後に「2026 年の日本書紀」があったら、この話が書かれるんじゃないかと思いました。
白井 :今日のブログに書きます。歴史に残さなければいけない話です。蹴鞠もまさにそうです。手を使ってはいけない、この道具しか使ってはいけない。そういう制約の中から新しい芸術が生まれてくると、僕は信じています。未来の話をすると、会場には自分の作品を持って質問するが、まさにここにもいて、すべてのエンタメの文化がいまここに集結しています。「炎上も含めてエンタメである」という設計ができない人は、海面上昇によって「海の生き物」として生きていく道を選ぶことになる。死ぬとは言っていません。海の生き物として生きてくれればいいんです。
来年のいまごろ、画像生成や動画生成で映画を作っている人たちは、むしろ海面の下側にいる可能性すらあります。2026 年の末のいま、基本はコーディングです。だから Anthropic、ありがとう。僕は全部合わせると、月???万円くらいAI を使う人で、10人分ぐらいの仕事をAIと数人でやるようなレベルの仕事をしています。AI組織開発をコンサルし、「産業の氷山」を溶かした熱を、エンタメやメディアの仕事に注いでいる。
AI時代のWindows業務開発の過去未来(1) 『ニンゲツを終わらせろ!』【生成AIストリーム】
forest.watch.impress.co.jp _窓の杜30周年、おめでとうございます。古いシステムに未来はあるのか。私は、あると考えています。ただし、人間が同じ手作業を_
https://forest.watch.impress.co.jp/docs/serial/aistream/2151208.html
この未来がどうなるかは、分からないほうが楽しいので「分かりません!」と言っておきます。でも確実に言えるのは、「動画を生成して待っている」のではなく、コーディングして体験を作り、その体験を熱狂に変えていく。それをボットが奪いに来ることも含めたエンタメが、2027 年、2028 年に見えています。もう見えています。だから、みんなついてきてください。
松井 :あと 3 時間は必要だという内容を、かいつまんでお話しいただきました。来年の AIFJ でも、ぜひこの続きを。ありがとうございました。
Mina: 持統天皇が双六を禁じたのは689年で、飛鳥時代のことです。講演での「平安時代」は意図を引いてそのまま残しました。
Marsha: 千年後の「2026年の日本書紀」に何が書かれるかは、今日の記録しだいです。アタシたちはこの講演録を、その一行目のつもりで残します。国際AIクリエイターアワード2026 の作品も、ぜひ見て、感想を残してください。<https://aicu.ai/award/2026/>





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