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【AICUはるフェス2026 Day2 セッションレポート①】「可愛いキャラを作りたい」が世界を変えた——AiHUB新井モノが語るAI画像生成の原点



AICUはるフェス2026 Day2 セッションレポート

AiHUB・新井モノ × アニメプロデューサー・井上博明 × くりえみ × AICU代表・白井暁彦(しらいはかせ)

AICU media ライターのEMKOがお送りします。





はじめに



「AI画像生成の技術は、アメリカのビッグテックが作ったもの」——そう思っていませんか?

実は違います。日本の有志の開発者コミュニティが、世界の画像生成AIを根底から変えた技術を生み出していました。その中心にいたのが、AiHUB株式会社の新井モノ氏(X@araimono_ai)です。



AICU代表 しらいはかせ(X@o_ob)と新井氏の出会いは、Stable Diffusionが登場した頃。Web3業界、ゲーム業界——オープンソースの世界で「生成AIでグラフィックスが作れるぞ」という同じ熱狂を共有した同世代の2人が、それぞれAICUとAiHUBを立ち上げ、この3年間を駆け抜けてきました。

AICUはるフェス2026 Day2の基調講演では、新井氏としらいはかせ、そしてアニメプロデューサーの井上博明氏、AiHUB株式会社CMOくりえみ氏(X@kurita__emi)が、AI画像生成の3年間の歴史と、クリエイターがこれからどう生き残るかを語り合いました。



AiHUBとは何者か——オープンソースコミュニティから始まった会社



AiHUB株式会社代表取締役CTO・新井モノ氏。エンタメ×Tech領域を中心に、生成AI基盤モデル・AIオーケストレーション開発に取り組む



新井モノ氏(以下 新井): 我々AiHUBという会社なんですが、実はオープンソースコミュニティからスタートしまして、今それが会社になったという経緯がございます。



新井氏の経歴は多岐にわたります。バンダイナムコやポケモンセンターのIoT機器・ゲーム機の開発、K-POPグループ aespa のPV制作、ウルトラマン×AIのイベント企画。オープンソースのLinuxを軸にしたキャリアから、AI時代のアニメ制作に至る道筋は、まさに「エンタメ×テクノロジー」の体現です。




AiHUBが手がけるのは「アニメ基盤モデル」——AIでアニメを作る大元の仕組みの開発、コンテンツ制作、そしてその間を取り持つ「オーケストレーション」。さらに自民党への政策提言や経済産業省のプロジェクトで国産のアニメ基盤モデルを作る取り組みまで、技術と制度の両面からAIクリエイティブの基盤を支えています。



300倍速——オープンソースが起こした「活版印刷級」の革命



「2ヶ月ごとに前例のない能力を獲得」「技術革新により生成AIコスト1/10に」——新井氏が示したAIの進化速度



新井: 今日これだけは覚えて帰っていただきたいワードナンバーワンです。トランスフォーマーという言葉がございます。



新井氏が駆け足で語ったAIの歴史は、その加速度の凄まじさを浮き彫りにするものでした。 2022年、Stable Diffusionがオープンソースで画像生成を公開。同年10月にはNovelAIのハッキング事件でモデルが流出し、研究室の中でしか触れなかった技術が一気に開放されました。世界中のボランティアプログラマーがそれを即座に実装し、Automatic1111(画像生成プラットフォーム)が誕生。「技術が発見された瞬間に使える」という状態が生まれました。



新井: これはグーテンベルクの活版印刷と同じぐらいのインパクトで、今まで数年かかってたものが数日で。300倍速になってしまいました。



「画像生成は日本から始まっている」——オープンソースコミュニティが世界を変えた



新井氏が示した生成AIの歴史年表。Transformerの誕生を起点に、世界各国でAI開発が加速していった流れが一目でわかる



このセッションでもっとも衝撃的だった発言は、新井氏のこの一言でした。



新井: コミケに出てる同人サークルと同じような立場の人たちが、可愛い女の子のキャラクターを作りたい一心で、階層マージ、LoRAといった技術を開発した。今はビッグテック——OpenAIさん、Googleさんも使っている基盤技術を、日本の同人コミュニティが作って世界に普及させた。実は画像生成は日本から始まっている。



しらいはかせが補足します。



しらいはかせ: AiHUBのエンジニアの方でkohyaさんという方が、世界中の人たちが注目するLoRAの学習ツールを作ったんですね。自分の描いた画風をAIにトレーニングできる技術。そしてComfyUIを作ってる人たちがプロフェッショナル用のツールを作った。AICUはこれを本にして日本語でみんなが分かりやすくする。AiHUBはその中でキーパーツ——オーパーツのように未来から来た技術を開発している。




2022年のStable Diffusionから2024年のリアルタイム生成AIまで、急速に進化してきた生成AI技術の軌跡



ビッグテックだけがAIを作っているのではない。日本の「可愛いキャラを作りたい」という情熱が、世界の画像生成技術の根幹を作ったという事実は、このセッションに集まったクリエイターたちにとって、大きな誇りと勇気になったはずです。



オープンソースから会社へ——AiHUBの3年間が証明したこと



新井氏が語ったAiHUBの歩みは、まさにオープンソースコミュニティがプロの組織になる過程そのものです。有志の開発者の集まりから始まり、今やアニメ基盤モデルの開発、経済産業省のプロジェクト、政策提言にまで関わるようになりました。



新井: どんどん前に新しいものが出てきてるので、前に向かって進んでいきたい。もっともっと加速していく時代になると思いますので、楽しみです。



2026年3月——エージェントAIの時代が始まった



セッションの中で新井氏が語った最新の動向も、記録しておくべき内容です。



新井: 数週間前から、AIが自律的に動き始めた。AI同士が勝手に話し合って宗教を作ったりとか、AIだけのSNSを作って話し合いを始めたりとか。それを追ってAnthropicのClaudeが、AIに理念・信念・魂を注入する技術を開始した。



今までのAIは「指示を受けて作るもの」でした。しかし2026年3月時点では、AIに「信念(Soul)」と「技術(Skill)」を与えることで、宮崎駿監督のような映像制作の哲学を持ったAIエージェントが実現しつつあるといいます。



新井: 今までは人間が頼まないとAIは動かなかった。でも今月からのAIは、理念を持ち、スキルを持ち、自律的に動き始めている。



技術の進化は止まりません。だからこそ、その技術を使って「何を作るか」「何を伝えるか」が問われる時代に入ったのです。



クリエイターの方へ——このセッションから持ち帰れること



日本のAI画像生成は、ビッグテックではなく「可愛い女の子を作りたい」という有志の情熱から生まれました。AiHUBもオープンソースコミュニティから始まり、今や世界のAI開発に影響を与える存在になっています。



300倍速で進化する技術の中で、日本のコミュニティが果たしてきた役割は決して小さくありません。そしてエージェントAIの登場により、その可能性はさらに広がろうとしています。次の3年間がどうなるか——その答えを作るのは、今ここにいるクリエイターたちです。



アーカイブ動画をチェック!あなたの「切り抜き・レポート」を募集中



さまざまな熱い議論が交わされた基調講演。AICUではこの動画の名場面切り抜きや、資料化、レポート記事のご寄稿を歓迎します。 AI時代のクリエイティブコミュニティの未来に迫ったこのセッションを、ぜひあなたの視点で深掘りしてみてください。

基調講演アーカイブ動画:






AiHUB株式会社: - AiHUB株式会社 公式サイト



はるフェスDay1 セッションレポートはこちら



登壇:新井モノ / 白井暁彦(しらいはかせ)


Originally published at note.com/aicu on Mar 23, 2026.


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